精神科処方薬依存セルフヘルプグループ Feelings

コラム

「Feelingsモデル」とは・[Feelings]における薬物依存とは  代表:老沼 史(2021.6.28)

「Feelingsモデル」とは

 Feelingsモデルの【語り】は、12ステップではなく、オープンダイアローグやエンカウンターに近い語りになります。
 処方薬依存の当事者は、緊張や不安が強い方が多く、そのためFeelingsは「ナチュラル」であり、処方薬依存という、そもそもが『ハームリダクション』である、薬物依存に特化したセルフヘルプグループとして、ミーティングを行っております。
 薬の使用を0ではなく、適切に使用するための回復には、まずグループの目的として「物事の解決」よりも「感情の解決」を語っていくことで、最終的に「生活課題の解決」になり、処方薬依存から回復できると考えます。


[Feelings]における薬物依存とは

 Feelingsにおける薬物依存は、医学的にでも、自己申請でもなく、人と環境と、自分自身の心と体へのハーム(害)があれば、Feelingsモデルの対象とします。

  1. 難病やHIVなど精神疾患以外の重複障害
  2. GID治療などのダブルマイノリティー
  3. 市販薬とクレプトなど社会的なもの
 の3つに関係するハームも対象とします。
 ひとり、ひとり、心と体違い環境も異なります。
 その中で多様性に配慮するには、薬物依存の量や種類にまやかされることなく、当事者の生活そのものに耳を澄ます団体でありたいと思います。
 それは最も難しいことかもしれませんが、フラットでありたいと
 立ち尽くす 
 見上げる先に
 光。

新年のご挨拶    代表:老沼 史(2021.1.1)

皆さま明けましておめでとうございます!
新型コロナウイルスの流行により、今世界がクライシス(危機的状況)に陥っていると思います。
アディクションソーシャルワークにはクライシス(危機的状況)を利用してもともと隠れていた人々や社会のニーズを底上げするという支援方法があります。
精神科処方薬依存セルフヘルプグループfeelings は4/12に団体を立ち上げ、そのような想いが届き、1月からのfeelings の活動が大和証券の助成金対象として選ばれました。それに伴い代表、または共同代表が当事者性と専門性をもちフルネームを公表できなければならないという薬物依存セルフヘルプグループの条件から、今まで老沼 史と直樹が共同代表として二人で運営してきましたが、今後は老沼が代表となる運びとなりました。今まで通り直樹も専任スタッフとして団体をサポートしていきますので、今後とも宜しくお願い致します。

皆さま今年も精神科処方薬依存セルフヘルプグループfeelings をよろしくお願いします。
今年が皆様にとって良い年となりますように

難病と薬物依存について    代表:老沼 史(2020.12.9)

自分が希少難病(ベーチェット病)になって、難病の方と交流が生まれてきて考えた事があります。
  
 難病の方のストレングスは今日一日を大切にする事。
 生きてるだけで人間には価値があるという事を体感している。
 神は乗り越えられる苦しみしか与えないし、自分は選ばれているということ。
 試練を与える時は共に乗り越える仲間も与える事。

これらの事はアディクションソーシャルワークと相性が良いというか、アディクションソーシャルワークで学ぶ事でもあります。
 難病の方々はアディクションソーシャルワークの先輩ではないかと思う事がたくさんありました。これは頭で考えた事でなく実際に私が体験した事です。

 そこで難病の方々と薬物依存の方々がサポートし合うのはどうだろうと考えるようになりました。

 世界には薬物依存による注射器の使い回しででHIVになった方々が他のアディクションに苦しむ人々を支え、その支援が効果的であったというエビデンスがあります。
 
難病の方は難病による痛みや不安、生活苦から精神科処方薬や痛み止めに依存してる方々が多いですが、NA に参加しようと思う人はなかなかいないのが現状です。

長い道のりになると思いますが、精神科処方薬依存セルフヘルプグループfeelings ではこうした活動を視野に入れて動き出しています。

精神科処方薬依存について    代表:老沼 史

 日本の精神医療は薬物療法が中心で多剤であることが海外からは指摘されているが、日本で精神医療を受ける当事者が、精神科処方薬依存だと自分で自覚できることは少ないケースである。日本において精神障害者の死因で一番多いのが、精神科処方薬による自殺や突然死である。
 オーバードーズした場合、医療保護になるケースが多い。私自身も医療保護を経験し、また精神科の閉鎖病棟で看護助手をした経験などから、5つの精神科病院を自分の目で見てきたが、身体拘束や薬物療法による医療が中心であって、クライシスに至る背景について話を聞いたり、徹底的に寄り添い現実の問題解決をする、といったことがなかった。
果たして、こうした入退院を繰り返していくことが回復への道なのだろうか?と私は疑問に思った。
 私は精神保健福祉士を目指すなかで、オープンダイアローグやバザーリア、べてるの家、ダルク、といったナラチィブアプローチと出会い、それが今回精神科処方薬依存セルフヘルプグループfeelingsを立ち上げる原動力となった。
 そもそも合法、違法を問わず「薬物依存は孤独な自己治療である」という自己治療説がある。
ペストの時代、治療薬として用いられていた「痛みや精神に作用する薬物」を、病気に対する恐怖や苦しみ、また生活苦から乱用するようになっていく。そういった薬は「ドラッグ」として位置づけられてきた歴史がある。 現在、新型コロナウイルスの流行で、精神科処方薬依存者が増えている。その背景からもわかる通り、人には苦しみがあり、それを自分ひとりで乗り越えようとした時、薬物依存になっていくのだと思う。

 人薬(ひとぐすり)という言葉がある。
今、精神疾患や発達障害、依存症を抱える人々でなくても、不安や生活問題が新型コロナウイルスにより増大してきていると思う。
そんな時、人はどうしているだろうか?
不安や生活課題などを友人や家族と話して心を軽くしているのではないだろうか?
人薬とは、そういうことである。

 そもそも精神疾患や発達障害・依存症を抱えた人たちは、日常の中で自分たちの苦労や不安を話す機会が少なく、生きづらさや生活課題と向き合うための機会が少ないように思う。そして、真面目で努力家な人ほど「自分でなんとかしなければ」という思いから、精神科処方薬依存になってしまう。
 アディクション病棟で精神科処方薬依存の治療をする人は増えている一方なのに、日本に精神科処方薬依存のセルフヘルプグループが存在しない。
地域で減薬や断薬を続けるサポート体制や、マンパワーが圧倒的に不足している。また、精神科処方薬依存があってアディクションクリニックを受診しようとするためには、精神科の主治医から紹介状を書いてもらうことを指定しているクリニックもある。そのため主治医の精神科処方薬との向き合いかたによってはアディクションクリニックを受診できずにオーバードーズを繰り返し、最終的には医療保護になるってしまうといったケースも多い。いくつかの精神科クリニックを受診して、精神科処方薬をダブル処方している場合もある。
そしてなによりの問題というのが、精神科処方薬依存当事者自身がその治療やセルフヘルプグループに繋がりにくいことである。
 feelingsの活動はそれ自体が精神科処方薬依存という概念を広める啓発活動である。是非ともこの活動を多くの人に知っていただきたいと思う。

精神と鍼灸のつながり    専任スタッフ:直樹

 鍼灸治療と聞くと、肩や腰が痛い時や高齢者ばかりが行くところ、というイメージがありませんか?鍼灸治療とは本来、自律神経を整え、内部から身体の状態を整えていく施術法です。鍼や灸の治療には、自身の持つ免疫力や自己修復力を補い強化することで、自然治癒力を高めるお手伝いをします。また不安や不眠など、精神的な問題に対しても、実は大変効果があるといわれています。
 精神科に通っている方、また精神科処方薬を投薬治療している方は、心と同じように身体状態も良くない場合が多々あります。肩が凝る、腰が痛い、といった症状は、単に肩や腰を酷使しているだけではなく、心配事が多かったり、不安が多い場合でも、ガチガチになっていることが多いのです。真面目な方ほど、心や身体にダメージがあっても、無理をしてでもどうにかしたい、という思いが強く、自分に無理をさせていることが多いのです。
 他人に言えない悩みや、つらさを吐き出すことで、一人でも多くの方に不安から開放され、のびのびと安心した日々を送ってもらいたい。痛みや苦痛のない生活を送ってもらいたい。
そんな手助けをしていければ、と思っています。

SBIRTS(エスバーツ)とは

Screening …… 依存症の可能性のある行動をふるいにかける(スクリーニング)
Brief Interventino …… 介入によって、問題行動には適切な範囲で行動での行動を勧め、病的行動を止めることを勧める
Referral to Treatment …… 専門治療の必要な人には紹介を行う
Self-help group …… 自助グループへの紹介
の頭文字をとったもので、対象に応じて予防や早期治療、自助グループにつなげる技術のことです。
feelingsでは精神科処方薬依存に対して『SBIRTS』の支援体制を整え、アディクションクリニックから直接紹介できるセルフヘルプグループを目指しております。
連帯機関や支援者、アディクションクリニックからのお問い合わせを随時お受け付けしております。また日本に精神科処方薬依存セルフヘルプグループがないためロールモデルとなる活動がなく、時代のニーズに合わせて新しい精神科処方薬依存セルフヘルプグループの形を模索しております。